今、世界的に自転車のシェアリングが大ブーム。
というか、もともと地球温暖化抑止とか健康増進の目的で欧米諸国の大都市圏からスタートして、日本各地の観光都市も含めて世界的にじわじわと広がりを見せていたところに、昨年春業界に突如現れた中国のメガベンチャー「mobaike(モバイク/中国語では「摩拜单车」)が爆発的ブームの火付け役。
★参考記事:「中国「自転車大国」シェアで復活 カギはスマホアプリ」(日本経済電子版2017/74配信)
★参考記事:「中国で急成長!利益率50%を誇る激アツ産業「シェアサイクル」とは」(現代ビジネス電子版 2017/1/19)
かつて13億の国民の足であった自転車は高度経済成長とともになりを潜めて今では自動車大国に様変わり。中国人自らマスクをして歩くほど有害な大気汚染と激しい交通渋滞に煩わされるようになった中国社会にビジネス商機を見出したのが「mobike」。乗り捨て自由と30分1元(約17元)という手頃さが受けて、今では中国全土に500万台以上、世界へもビジネス絶賛拡大中。そのmobikeの成功に便乗して新たな業者も次々登場し中国都市部は戦々恐々の戦国時代。

先月6月に訪れた田舎の湖北省宜昌市にまで道端に自転車が氾濫、どこを見渡しても老若男女が乗り回している光景に呆気にとられてしまった。13億の国民の1%が30分乗ってくれるだけで1,300万元(約2億2,000万円)が自動的にチャリンチャリン・・・こんなおいしい商売はないだろう。目の付け所がスゴイ。でも、すでにあるマーケットが(土地・人口ともに)デカいからこそ為せる技だと思う。
中国滞在中もなんとか自分もシェアサイクルを使えないかと試してみたものの、中国の銀行口座をベースにした中国電子マネー「アリペイ」とか「WeChatペイ」のアカウントがないとダメみたいで断念。
そんなきっかけもあり、日本とか世界での自転車シェアリングってどうなのと興味が湧いて調べた結果が以下の通りです。
各国へ観光の際に参考になれば幸いです。
※詳細は、表内のリンク先をご覧ください(日本、中国、韓国以外は英語)
世界各国における自転車シェアリング比較
日本 (東京) | 中国 (北京) | 韓国 (ソウル) | 米国 (N.Y.) | フランス (パリ) | イギリス (ロンドン) |
|
---|---|---|---|---|---|---|
シェアサイクル事業名 | ドコモ・バイクシェア | Mobike (摩拜单车) | 따릉이 (タンルイ) | citi bike (シティバイク) | velib (ヴェリブ) | Santander Cycles (サンタンデールサイクル) |
ポート数 自転車台数 | 274ヵ所 4,110台 (2017年3月末時点) | ポート無(公道乗り捨て) 30万台以上(2017年5月時点) | 400ヵ所 5,000台 (2016年7月時点) | 600ヵ所 10,000台 (2017年7月現在) | 1,800ヵ所 23,600台 (2017年7月現在) | 750ヵ所 11,500台 (2017年7月現在) |
(参考)都市面積 | 111.69 km2※1 | 16,410 km2 | 605.2 km2 | 789 km2 | 105.4 km2 | 1,572 km2 |
利用料金プラン (基本料) | ・初回30分無料 ・1回/月額会員共に、以降30分毎に+100円 ・1日パスは購入当日の23:59まで使い放題 | 頭金 299元(約5,011円)※2 マウンテンバイク 1元(約17円)@30分 ママチャリタイプ 0.5角(約9円)@30分 | 頭金 5万ウォン(約5,000円)※2 1,000ウォン(約992円)@60分 | 1日券$12(約1,369円) 3日券$24(約2,738円) 1年間$163(約18,595円) | 頭金150ユーロ(約19,504円)※2 1日券1.70ユーロ(約221円) 7日券8.00ユーロ(約1,040 円) 1年間(30分/回) 29ユーロ(約3,770円) 1年間(45分/回)39ユーロ(約5,071円) 他略 | 1日券 2ポンド(約147円) |
料金プラン (延長料金) | ・初回30分無料 ・1回/月額会員共に、以降30分毎に+100円 | 同上 | 30分毎+1,000ウォン | ・1回30分無料(1回30分内であれば期限内は何回乗っても無料) ・30分超えた場合、15分毎に+$4(456円) ・年パスは1回45分まで無料、以降15分毎$2.5(285円) | ・1回30分無料 ・30分超過の場合、30分毎に+1ユーロ(約130円) | ・1回30分無料 ・30分超過の場合、30分毎に+2ポンド(約147円) |
6時間借りた場合の費用 | 150円@初回+100円@30分×11回=1,250円 | マウンテンバイクの場合 1元@30分×12回=12元(約201円) | 1,000@初回+1,000@30分×10回=11,000ウォン(約1,091円) | 1日券$12@初回+$4@15分×22回=$100(約11,409円) | 1日券1.7ユーロ+1ユーロ@30分×11回=12.7ユーロ(約1,651円) | 1日券2ポンド+2ポンド@30分×11回=24ポンド(約3,523円) |
支払方法 | クレジットカード ドコモケータイ払い (オンライン決済) ※1日パスのみ現金、その他交通系ICカード | 支付宝(アリペイ) 微信支付(WeChatペイ) (オンライン決済) | クレジットカード (オンライン決済) | 現金・カード (町のキオスクで利用カード購入) | 現地にてICチップ付クレジットカード決済 (オンラインで事前購入可) | 現地にてカード決済 |
外国人旅行者の利用 | ー | 不可 | 可 | 可 | 可 | 可 |
日本のドコモ・バイク・シェアは、電動自転車だし、それでいて利用料金も欧米に比べたらリーズナブル。ただし、ポート数の差は歴然。他国は数百m間隔で設置しているので、電気自動車のときと同様日本にとってここが普及のキモ。お金や質も大事だけどその前に利便性重視。是非今後に期待したいですね。
利便性でいえばダントツに羨ましいのが中国の自転車シェアリングサービス。乗り捨て自由と驚きの価格はまさに理想の移動手段。
しかしその一方で、中国では放置自転車や器物破損、メンテナンス、盗難・私物化などの問題に直面しているといわれる。結局、法規制が後手後手になっているから道路は無法地帯だし、壊れた自転車は使い捨て状態。ビジネスとしての目の付け所がスバラシイと思う反面、詰めの甘さが残念でならない。
★参考記事:「中国のシェア自転車、急増で「悲惨な運命」」(ウォールストリートジャーナル 2017/4/4配信)

いよいよ日本でもモバイク日本法人が設立されて、手始めに福岡市、札幌市での実証実験が行われることになった。ぜひ成功して日本にも自転車シェアリング旋風が巻き起こってほしいです。乗り捨て自由のサービス、是非利用したい!
★参考記事:「株式会社モバイク 日本法人「モバイク・ジャパン株式会社」を設立」(@press 2017/6/23配信)
おまけ:各社の自転車の写真
[1]日本(ドコモ・バイク・シェア):電動自転車がイイネ

[2]中国(モバイク):タイヤが重いのが難点

[3]韓国(タンルイ):ちょっとデザインダサいか?

[4]米国(citi bike):さすがスタイリッシュ

[5]フランス(velib):近未来な自転車。ハンドル持ちにくそう

[6]イギリス(Santander bike):オーソドックスさが堅実なイギリスっぽい

【参考情報】
・一般社団法人自治体国際化協会レポート「各国のシェアバイク事情」
・ドコモ「ドコモ・バイクシェアプロジェクト」
・ドコモ「BE FREE TOKYOプロジェクト」
・france.fr「パリのレンタルサイクル、ヴェリブ Velib’」
・SEOUL「“タルンタルン”「タルンイ」でソウルを駆け回る」
・SEOUL NAVI「ソウル自転車タルンイ (レンタル自転車)」
・SEOUL NAVI「ソウルで自転車をレンタルしよう!」